親と子どもの関係性は、子どもの自尊感情や規範意識、自制心など、子どもの人間形成に大きな影響を与えるだけでなく、他者や社会との関わり方を決定する要因にもなります。また、親が過干渉だったり、「あれをしてはダメ、これをしてはダメ」と子どもの行動を制限したりしすぎると、子どもの自立を阻み、適切な時期に経験しなければいけない親離れ、そして子離れをも妨げてしまいます。
子どもが心身ともに健やかに成長するためには、親は子どもにどう接し、関わっていくべきなのでしょうか。ここでは親子関係の在り方について考えていきます。
共依存とは
皆さんは、「共依存」という言葉を聞いたことがあるでしょうか?
共依存は、親子、男女、友達関係において、互いが必要以上に依存しあう関係性を指します。
お互いがお互いを必要とするのは決して悪いことではありませんが、これが行き過ぎてしまうと、子どもの人間形成に、何らかの歪みが生じてしまう可能性があります。特に親子関係では、親が子どもを依存者にするケースがほとんどです。
子ども自身が責任をもってやらなければいけないことを、すべて親が先回りして行ってしまうと、子どもは親がいなければ何もできなくなってしまう上に、責任を負うことを苦手に感じるようになってしまいます。誰かに何かをしてもらうのが当たり前になり、相手に対する感謝の気持ちがもてなくなります。また、親が何でもやってしまうため、子どもは「親から信頼されていない」と感じるようになり、自己肯定感が低くなる場合もあります。
子どもを生きがいにしない
子どもを依存者にしてしまう親には特徴があります。
それは、子どもを生きがいにしてしまうこと。普段から子どもの身の回りの面倒を見ることだけに自分の価値を見出し、生きがいとしてしまうと、子どもが自立すべき時期が来てもなかなか子離れができません。子離れどころか、「寂しいから子どもをそばに置いておきたい」と、ますます子どもを縛り付けるようになることも。
特に共依存の関係に陥りやすいのは、母親と娘。洋服を交換したり、一緒に買い物に行ったりと友達や姉妹のような関係を築く母娘は、何でも話し合える仲の良い理想の関係に見えますが、相手がいないと何もできない、また親が自分の価値観を子どもに押しつけ、縛り付けているといった共依存関係に陥っている場合があります。
子どもを生きがいにするのは、愛情がある証と捉えがちですが、これらは決してイコールではないことを親は知っておかなければいけません。
人を育てる親になる
やはり親はあくまで親でなければいけないのです。友達でもなければ、姉妹・兄弟でもありません。ましてや自分の分身でもありません。
共依存にならないためにも、まず親は自身の役割を正しく認識することが必要です。言うまでもなく、親の使命は「人を育てること」。だから子どもの成長のためには、時間がかかっても子ども自身にさせなければいけない場合もありますし、ときには失敗させることも必要になります。例えば、朝、子どもが宿題を忘れていたのに気づいて泣いてしまったとき、あなたならどうしますか? 代わりに宿題をやって学校へ送り出しますか? 学校を休ませますか? でも宿題を忘れて先生に注意されたり、恥ずかしい思いをしたりする中で、「二度と宿題を忘れない」という気持ちになることだって考えられます。
なんでも子どもにしてあげるというのは、決していいことではありません。むしろ、それは「毒親」と言えるでしょう。親は、子どもの成長のためにすべきことは何なのかをしっかり見極めて行動しなければなりません。
信じて見守る姿勢をもつ
ある一定の年齢になり、子どもの自主性が芽生えてきたら、親は子どもから一歩離れてみましょう。子どもの将来を思えば、「勉強しなさい!」「ゲームばかりしてはダメ!」と言いたくもなりますが、過度に監視的態度、強制的態度、指示的態度をとるのは好ましくありません。そうした態度は、子どもが自分で考えて行動を起こしていく姿勢をくじいてしまいます。
大切なのは、子どもを信じてあたたかく見守ってあげること。そして、子どもをじっくり観察することです。子どもが楽しそうなときは、「何かいいことあったの?」と聞いてあげる、悩んでいそうなときは「どうしたの?何かあった?」と声をかけてみるなどしてください。
そうした接し方の方が、子どもは自分で考えた上で、本当に必要なサポートを自ら親に求めてくるようになります。良好な親子関係を築く上で大切になのは、あれこれ口を出すことではなく、「信じて見守ること」なのです。
子どもを過小評価しない
実は、監視的態度、強制的態度、指示的態度をとる親ほど、子どものことを知りません。なのに「私は子どものことを誰よりもよく知っている」と思いこんでいます。そうした親は、子どもの成績が上がっても気づきません。それどころか、「うちの子どもはバカだ」と平気で口にしたり、「うちの子は勉強ができない」と過小評価したりします。
私たち講師が「そんなことありませんよ。理解力もしっかりあるし、学力はしっかり上がっています」というと、「え、うそでしょう?」といった反応をされる親御さんもおられます。でも勉強ができないのは、子どものせいばかりではないのです。成績が伸びない原因の多くは、子どもに接する親の態度や家庭環境にあります。
だから、もし成績が伸び悩んでいると感じているのなら、まずは親自身の言動を見つめ直してみてください。すべての子どもには、それぞれに個性があり、そして才能があります。私たち子どもに関わる大人は、そのことをしっかり肝に銘じ、常日頃から子どもをじっくり観察して、子どもたちの「いいところ」を見出してあげることが重要なのです。
まとめ
「かわいい子には旅をさせろ」という言葉があるように、親は適切な時期が来たら、子どもの手を離していかなければいけません。いつまでも子ども扱いしてあれこれ世話を焼くのではなく、子どもが自主的・主体的に動いていける環境をつくるようにしましょう。大切なのは、信じて見守ってあげること。そして子どもを過小評価するのではなく、その子がどんな個性や才能を持っているのかに目を向けるようにしてみましょう。
西明石の個別指導塾「アンドワン」における講師と生徒の関係にも同じことが言えます。私たちは、子どもを信じて見守り、一人ひとりがもつ能力を引き出すことを一番に考えています。その具体的な方法の一つが講師の「担任制」です。担任制をとることで、講師は、生徒一人ひとりの性格や弱点、学習の進捗状況をしっかりと把握し、個々にあった学習方法を提案して、成績アップにつなげ、子どもたちが自信を持てるようにサポートしています。
勉強に限らず、音楽やスポーツなど、自分が持つ才能を見抜いてくれる人に出会うと、人生は良い方向に向かっていきますよね。私たち大人は、子どもたちが自分の個性や才能を活かして、人生を幸せに歩んでいけるように、応援していきたいものです。